○藤森勝也(新潟県立新発田病院内科)、鈴木栄一、下条文武〔新潟大学大学院歯学総合研究科内部環境医学講座(第二内科)〕
カプサイシン咳感受性試験の結果が、自覚症状としての咳嗽を反映するか否かは、明らかではない。
自覚症状としての咳嗽とカプサイシン咳感受性試験との関係を明らかにする。
対象および方法
カプサイシン咳感受性試験を行う患者、自覚症状としての咳嗽の程度をvisual analog scale(VAS)で表現させた。すなわち検査当日と検査前1週間の咳嗽の強さと回数をVASで評価させ、その後カプサイシン咳感受性試験を行った。カプサイシン咳感受性試験は、10段階(1.22μM−625μM)に希釈したカプサイシンの低濃度からの吸入により、咳が5回以上誘発された最低濃度を咳閾値とした。この試験前後で、flow−volume曲線を検討した。検査前12時間以上、すべての薬剤の使用を禁止した。
気管支喘息21例、咳喘息3例、かぜ症候群後遷延性咳嗽4例、慢性気管支炎1例で検討できた。カプサイシン咳感受性と検査前1週間の自覚症状としての咳の強さと回数との間には、有意な関係は認められなかった。検査当日の咳の強さと回数との間には、それそれγ=-0.46(P=0.01)、γ=-0.33(P=0.08)の関係を認めた。咳の強さ、回数のVASによる指標との間には、γ=-0.41(P=0.03)の有意な負の相関関係を認めた。
カプサイシン咳感受性が亢進しているほど、検査当日の咳嗽の程度は強いことがわかった。