ご挨拶

 このほど、藤村政樹初代理事長の後任として、日本咳嗽学会の理事長に就任しました名古屋市立大学大学院医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学の新実彰男です。
 日本咳嗽学会は、その前身となる日本咳嗽研究会が1998年に設立されたことに端を発します。藤村先生のご尽力により2018年にNPO法人日本咳嗽学会となりました。年1回の年次集会(研究会・学会)はコロナ禍でも継続され、今年で第26回となります。
 咳は患者さんが医療機関を受診する動機として最も頻度が高い症状であり、近年長引く咳を訴える患者さんの増加が指摘されています。中でも8週間以上持続する慢性咳嗽は、診断や治療に難渋することが少なくなく、咳そのものに加えて様々な合併症が患者さんの日常生活に影響を与えます。
 咳はありふれた症状ですが、その原因は呼吸器疾患に限らず多岐にわたる学際的な症候です。学会には呼吸器内科、耳鼻咽喉科、小児科、消化器内科などの臨床医や基礎の研究者などが参画しており、加えて診療の現場では循環器内科、総合内科/総合診療医、心療内科なども関わります。藤村先生のリーダーシップの元に、咳嗽研究会の時代から我が国の咳嗽診療レベルの向上を目指して来ました。2001年と2006年に「慢性咳嗽の診断と治療に関する指針」とその改訂版を、アトピー咳嗽研究会の連名で冊子として報告しました。さらに2021年12月には、新実が編集委員長を拝命し、「専門医のための遷延性・慢性咳嗽の診断と治療に関する指針 2021年度版」を書籍として発刊しました。専門医だけでなく、プライマリケアを担う一般医・家庭医にも正しい理解が求められるため、基本的な診断・治療の知識の啓蒙も重要と考えています。
 一方で、研究は学会のもう一つの柱となるミッションです。疫学・実態調査、主要な原因疾患の病態解明や診断・治療法の確立は今後も重要な研究テーマです。加えて近年は、原因疾患の治療に抵抗性の難治性慢性咳嗽が注目されており、新薬の登場も相俟って研究も活性化しつつあります。
 重責ではありますが、学会と「咳嗽学」の発展のために尽力して参りますので、ご支援のほど何卒宜しくお願いいたします。

日本咳嗽学会 事務局

名古屋市立大学大学院医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学
新実 彰男

〒467-8601 名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1
TEL:052-853-8216 FAX:052-852-0849

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