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受託検査サービス

アルコリスク®

アルコール分解酵素の遺伝⼦多型と問診票による
食道がん・頭頚部がんのリスク検査です。

血液由来のDNAをリアルタイムPCRにて
SNPs(一塩基多型)解析を行い「飲酒タイプ」を判定します。
また、問診票にて「生活習慣(飲酒歴、喫煙歴、食習慣)」を点数化して、
「飲酒タイプ」と合わせて食道がん・頭頚部がんの発症リスクを判定します。

本検査は、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター横山 顕先生らの
研究成果を基に構築されています。

飲酒と癌(がん)の関係

WHO(世界保健機関)の評価では、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房のがんの原因となるとされています。またアルコールそのものに発がん性があり、少量の飲酒で赤くなる体質の人(2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人)では、アルコール代謝産物のアセトアルデヒドが食道がんの原因となるとも結論づけています。これは、口腔内の唾液中や食道・頭頚部の粘膜内でアセトアルデヒドが代謝されず残存することによるものと考えられています。

アルコール分解酵素の遺伝子多型について

アルコールを代謝する酵素の遺伝子にはいくつかのタイプ(遺伝子多型)があることが分かっています。
肝臓でのアルコール代謝は、

  • アルコールをアセトアルデヒドに分解するアルコール脱水素酵素(ADH1B)
  • アルコールが代謝されてできた有害なアセトアルデヒドを無毒な酢酸に分解する2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)

これら2つの酵素が中心的な役割を果たしますが、その両方の遺伝子に多型(酵素の働きの強い/弱い=飲酒時の反応の違い)が存在します。このような遺伝子多型は両親から引き継ぐものですので生涯変わることはありません。本検査では、ADH1BとALDH2の遺伝子多型を解析し5つのタイプに分類します。これまでの研究では、日本人の約半数は遺伝子的にはお酒に弱いことが分かっています。

各遺伝子の多型と特徴


遺伝子 多型 特徴
ADH1B Arg47His 多型 47番目のアミノ酸がアルギニンArgの人はアルコールの分解が速い。
ALDH2 Glu487Lys 多型 487番目のアミノ酸がリシンLysの人はALDH2酵素が働かなくなる。

お酒に強い/弱いは遺伝的な体質によって決まっています。

C・Dタイプでの多飲者のがん発症リスク

ADH1BとALDH2の働きが弱い人が飲酒家になると口腔・咽頭・食道の発がんリスクが特に高くなります。口腔・咽頭・食道がんは一人に複数発生する傾向がありますが、飲酒と喫煙とは相乗的に多発がんのリスクを高め、ALDH2の働きが弱い人でも多発がんが多くみられます。コップ1杯のビールで顔が赤くなる体質が現在または飲酒を始めた最初の1-2年にあった人では、約9割の確率でALDH2の働きが弱いタイプと判定されます。飲酒に加え喫煙と緑黄色野菜や果物の摂取不足も同部位の発がんリスクを高めます。

アルコールの分解はできるがアセトアルデヒドの分解が遅いタイプの人は食道がんの発症リスクが高まります。
さらに、喫煙者、野菜や果物を摂取する習慣がない人はさらにリスクが高まります。

Aタイプはアルコール依存症になりやすい

ADH1Bの働きが特に弱い人は日本人の7%程度にみられ、Aタイプの人はアセトアルデヒドの分解は速いもののアルコール分解が遅いためアルコールが体に残りやすくアルコール依存症になりやすい体質です。Aタイプの男性の10%以上が依存症になるという研究報告もあります。

アルコールの分解は遅いがアセトアルデヒドの分解が速いタイプの人が多量に飲酒すると依存症になるリスクが高まります。

Eタイプは飲めない「下戸」

ALDH2が働かない人はアセトアルデヒドを代謝できないので、アルコールを摂取しても不快感が続くだけです。このような人はお酒が苦手であることが多く、飲酒する機会がほとんどないため食道がん・頭頚部がんの発症リスクは低いと言えます。

アセトアルデヒドの分解ができない人は「飲めない体質」。

主要論文

本検査の原理(SNPs解析)

本検査は蛍光プローブ法によるリアルタイムPCRを測定原理とし、ADH1BおよびALDH2の1塩基多型(SNPs)を解析します。

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